私は異世界の魔法使い?!
鏡張りなのだろうか?
そう思うほどに一線挟んで世界は左右対称だ。
さっきまでの異臭が嘘のように、澄んだ空気が広がっている。
不浄の中やって来た私達をまるで浄化しようとでもするように、世界は輝きに満ちている。
そんな中、ふと後ろを振り返ると。
「……あれは」
私と同じく呆気に取られていたアルフレッドも、その言葉に反応し、振り返る。
私達の背後に、星々が輝く世界にあったもの……それは。
「宮殿……?」
黒い玉ねぎ型の屋根が付いた宮殿。
アラビアンナイトに出てきそうな形をしているのに、それと似つかわしくないのは、その宮殿の色。
絢爛豪華な金色ではなく、影のように濃く、深い、漆黒の色。
それはこの世界に来た日に見た、私が今まさにその内部にいるはずの建物と同じ形をした、宮殿。
「でも、なんで? ここは宮殿の地下じゃないの……?」
これは目の錯覚?
蜃気楼?
……そんな、まさかね。
だって砂漠の真ん中じゃあるまいし。