私は異世界の魔法使い?!



やはりここは建物内部なのだろう。

私の前にそびえる宮殿は明らかに小さい。

実際に見た宮殿の100分の1程度のサイズだろうか。


……まぁ、それでも元々の宮殿が大きいためか、東京ドームくらいの大きさはあるんじゃないかな。


銀河の世界の中でさえ、真っ黒い宮殿は不思議と目立って見えた。


「……そう、ここは宮殿の地下よ」


その姿に見入っていた時、ふいに足元から声が聞こえた。


「……っ!」


言葉は声にはならなかった。

口を開いて、そこで止まる。

私はひたすら自分の足元を見やり、目を見開いた。

驚きのあまりよろめき、思わず一歩後ろへ下がる……すると、シンメトリーに映る私の姿も同じく一歩後ろへ下がった。

けれど驚いた表情をしているはずの私の顔が、微笑みを携え、口を開いた。



「初めまして、実亜」



鏡のように天井も、建物も、私達も映し出す地面。

その地面に映る私がゆっくりと歩き出す。

シンメトリーな世界で、私だけが対象から外れる。



< 493 / 700 >

この作品をシェア

pagetop