私は異世界の魔法使い?!
「待ってって……わっ!」
カイトに腕を引っ張られ、思わず足がもつれそうになった。
だけど、すかさずカイトは私の体を抱き上げた。
そう……少女漫画にでも出てきそうなシチュエーション。
ーー女子が萌えるという、お姫様抱っこ。
「やめろー!」
ハズいハズいハズいハズいハズいハズいハズいハズいー!!!!!
顔から火が吹き出るとはこういうことなのか……。
みるみるうちに顔が熱を上げてゆく。
大量の蟻んこが心臓の回りを這っているような、むず痒い感覚。
私が余りにもジタバタと暴れるものだから、カイトは慌てて私を降ろし、再び片膝を折って手を胸に当てた。
「大変失礼致しました……そんなに私に触れられるのが嫌だとは思ってもみなかったもので……」
声が震えている。
頭を下げているせいで顔はよく見えないが、明らかに血の気を失っている様子だ。
相当ショックだったようだ。その証拠に、再び剣を抜き出し自分の首に当てがった。