私は異世界の魔法使い?!
「手荒いことをして、申し訳ございませんでした」
私の体はふわりと浮いた。
それは地面まで2メートルほどの距離に達した時だった。
優しい腕が私の体を包んで、同時に安心感が胸一杯に広がった。
「ご安心下さい。もう宮殿の中に到着しましたので」
そう言って、私は再びカイトに抱っこされていた。
しかし今度は恥ずかしさよりも先程の恐怖と驚きが勝り、暫く呆気にとられ口をつぐんだ。
そんな私の体をゆっくりと地面に降ろし、カイトは片膝を折って平伏し、剣を抜いた。
「甘んじて死を受け入れようと思います」
「だからそれやめて!」
剣を喉に突き刺そうとしたカイトの腕を取り、必死に剣から引き離す。
「しかし、さきほど言われたばかりにも関わらず、わたくしは早速禁を犯しました。これは万死に値する行いでーー」
「いいから! もういい。今後はなるべくやめてよねーっ!?」
……もう私もやけくそだ。
こっちの世界のカイトは面倒くさいことこの上ないな……。