私は異世界の魔法使い?!
「……ねぇ、私はあなたが三本足であろうとなかろうと、あなたの翼は立派だし、あなたの瞳は丸くて綺麗だし、あなたの全身を覆う羽は高価な毛皮となんら引けを取らないって思ってたよ。それじゃ、ダメなの……?」
肩書きや血筋、そんなものにこだわらないといけないの?
受け継いできたものよりもあなた自身のものの方がよっぽど立派だと私は思うのに。
「……実亜、お前には分かるまい。ワシが固執するものは周りが固執しなくなったものだという事に。そしてそれがどれほど惨めな事かという事に。お前には決してわかるまいて。固執するものを持たぬお前にはの」
一瞬、カモタケツの恰幅の良い体が、小さく見えた。
「カモタケツさ……」
「もういいじゃろう。目上の者を痛めつけるのももう十分じゃろう。そろそろワシを解放してくれ」
「ダメだ。解放すればお前はなにをしでかすかわかったもんじゃないからな」
カイトは挑むようにそう言った。けれど、それを私は制する。
「わかった。解放してあげる」
カモタケツに向けた杖先を、小さく揺らす。すると立派な翼は何かを引きちぎるように大きく広げた。
「実亜!」
「さっきカイトが言ったんじゃない。二本足のカラスについて来る輩はいないって」
「それとこれとは」
「もう、良いんだよ」
そうだよね、ミア。