私は異世界の魔法使い?!


「カイ……!」


止める間もなく、カイトはカモタケツを斬りつけてしまった……。


「この、ガキがぁ……!」


身動き取れないカモタケツは丸い瞳をこれでもかと見開き、鋭いくちばしを震わせる。


「カイト、なんで!」


無抵抗な相手を斬りつけるなんて!


……そう思ったけれど、何かが変だ。


カイトが切ったのは、カモタケツの足一本のみ。しかも切られた足からは血すら滲んでいない。

そもそも、切られた足は、どこへ行ったのか……?

辺りを見渡してみるが、見つからない。


「……どう、なってんの?」

「どうだ、それでお前の足は二本になった。俺達と同じ。そして、ただのカラスと同じにな」

「返せ! ワシの足を返すんじゃ!」

「悪いが、もうここには無い。お前のもう一本の足は別の空間に置いてきた。返して欲しければ、少し二本足で歩く事に慣れてみる事だな」

「……! ガキが、こんな事をしてただで済むと思っておるのか」

「もうお前について来る輩はいない。お前がそう言ったんだ、二本足のただのカラスにはな」


なんだか……とても哀れに思えてならない。

それだけカモタケツは肩書きに縛られていたという事なのだろう。決してそれがいけないわけじゃないけれど……。



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