私は異世界の魔法使い?!


そう思っていた背後から、よく聞く声が聞こえた。


「……実亜」


振り向いた先にいるのは、mia。

一度は瀕死の状態だったにも関わらず、傷だらけだった体は癒えたのか、miaは自分の足でその場に立っていた。


「mia……」

「また実亜を殺そうって言うのか? それとも俺の記憶を消すか?」


私を背後に隠し、カイトが剣を抜く。

けど、きっとmiaにそんな気は無いって事を私はもう知っている。


「カイトやめっ」

「ごめんなさい……」


miaはゆっくりと頭を下げた。

傷は癒えても衣服はボロボロのまま。痛々しいその姿だけれど、凛とした佇まいで、深々と頭を下げた。


「……全部実亜の言った通り、私は死に場所を探してた。自分じゃ死ぬ事が出来なくて……でも、生きるのも辛かった……」


miaの声がブレル。

短い髪の隙間から、真珠のような涙が幾度も無く流れ落ちる。



「……でも初めは、出来る事なら……別の世界の私として、すり替わって……い、生きた……っ……」


声は裏返り、肩は震える。

それでも、彼女は懸命に言葉を紡いでゆく。



< 682 / 700 >

この作品をシェア

pagetop