私は異世界の魔法使い?!


「……な、かった……それは、出来なかった……だって、そこには……ミアはいるのに、私が、いないんだもの……っ!」

「mia!」



駆け出した足は、miaの元へと向かう。


ぐんぐん風を切って、彼女の元へ。


走って、捕まえて、抱きしめた時……彼女は私に体を預けた。



立っていたのはギリギリだったのだ。



懸命に、誠意を込めて、自分を奮い立たせていたのだ。


miaの震える体をギュッと抱きしめて、抱きしめて、力一杯抱きしめて……私は声をあげて泣いた。


私も同じ環境で育って、同じように海斗に死なれたらどうだったろう。

miaと同じ科学が発達した世界で、ワームホールのヒントを得て、それを形にするだけの気力を持ち合わせただろうか?


うん……きっと同じ事をしたんじゃないだろうか。


だって簡単に諦められないから。


気持ちの折り合いの付け方が上手く出来なくて、そんな時に別の世界の海斗に出会ってたら……そんな風に考えると、彼女を咎める事なんて出来ない。



それに彼女は、もうひとりの私だからーー。




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