マリー
 知美は入りこんだ場所にあるお店に行くことに決めた。そのお店は一面ショーウインドウで中身を見ることができるだけではなく、店の前にも花壇などが備え付けられている。お店の前にはある椅子にはその季節の花が植えられた植木鉢が置かれており、手入れされた季節の花を楽しめる名所の一つとなっていた。


 店の中も整然としており、程良く飾られた小物が外国にある一軒家に迷い込んだような気分を味あわせてくれる。知美の友達の間でもかわいいと評判の店で、買い物をする予定もないのに、何度も足を運んだことがある。


 真美にその事を教えると、彼女の目がキラキラと輝く。二人の行先はすぐに決まる。

  信号を待っていると、鮮やかな青の信号があかりがともる。


 知美たちは細い路地に入った。そこでは歩道と車道の明確な区別はなく、白い線で線引きされているだけだ。細い路地といってもその先には店が立ち並ぶ通りがあることから、二十歩程歩けば人一人とすれ違う程の人通りはある。
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