マリー
「お兄ちゃん、顔が赤くなってる。いやらしい」

 妹はそんな言葉とは裏腹にからかうような笑顔を見せる。

 少年の顔が一層赤くなるのが分かった。

「麻里ちゃんが抱きつくからだよ」

 だが、少年は相変わらず、少女を引き離そうともしなかった。

「美佐ちゃんもお兄ちゃんも大好き」

 そう言うと、栗色の髪の少女は笑っていた。

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