キミが泣くまで、そばにいる


「やっぱ似合う」

 屈託のない笑顔だと思った。

 たとえばそれは、飼い犬に首輪を与えるのと、同じ感覚なのかな。

「あ、いた! アカツキ!」

 ホールに声が響き渡って、私は振り返った。

 数人の女子生徒が、廊下の角から現れる。見覚えのある、取り巻きの女の子たちだ。

「探しちゃったじゃーん。うちら、王子に提案があってさー」

 彼女たちが鋭い視線をよこして、胸がぎしりと鳴った。

 私は手をひっこめて、アカツキから離れる。

「じゃ、私、戻るね」

「あ、待ってよ。真辺さんにも関係ある話だから――」

 ぽかんとしている王子から視線を外し、私は彼女たちに向き直る。

「犬の件なら、私はアカツキの決めたことに、従うから」

 目をまたたいて、彼女たちは顔を見合わせた。


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