キミが泣くまで、そばにいる




 すれ違う生徒たちの笑顔が、眩しい。
 まるで校舎全体が、来たる夏休みを全力で歓迎しているみたいだ。

 教室に向かって廊下を歩いていたら、「チーコ」と呼び止められた。

「なんだお前、とぼとぼ歩いて」

 となりに並び立った男前な男子生徒が、ニカッと八重歯をのぞかせる。

「トワくん、ご機嫌だね」

「ったりめーだろ。明日から学校来なくていいんだぞ」

 鼻歌をうたう彼は、アカツキやセイと違って女の子をぞろぞろと引き連れて歩かない。

 微笑み王子と違って平気で「うぜー」とか「寄るな」とか言うし、セイみたいにとにかく女の子が好きという感じでもなく、どちらかというと男同士でつるんでいたいタイプらしい。

「夏休み、セイたちと遊んだりするの?」

「さあ。べつに約束はしてねーけど、テキトーに集まったりするんじゃん?」

 そう言って、トワくん私を見る。

「チーコも来いよ。つか、カラオケ行こうぜ。インフォの曲分かるの、お前しかいねーんだもん」

< 258 / 273 >

この作品をシェア

pagetop