キミが泣くまで、そばにいる


「信じられない……」

 階段を下りながら、誰にともなくつぶやく。

「何が?」

 きょとんとする王子を直視できず、私は顔を逸らした。

 つながった手の感触に、心臓がずっと悲鳴をあげている。

 手をつなぐっていうのは、腕を掴まれたり、引っ張られたりなんていうのとは、わけが違った。

 相手の体温がじっくりと伝わって、私の温度と馴染んで、ひとつになる。

 なんだかそれが、すごく恥ずかしい。

 しかも相手は――

「アカツキが、私を好きなんて、絶対ない」

 それから急に思い立った。

「そうだ! 賭けをしてるんでしょ? 微笑み王子が忠犬を落とせるかどうかって」

 階段の途中、斜め前を下りていたアカツキが、くるっと向き直る。

「みんなで私を、からかって――」

 言葉が途切れた。

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