キミが泣くまで、そばにいる


 ふと、彼は足を止めた。

 昇降口の手前。薄暗い廊下の真ん中で、私を正面から見下ろす。繋がった手に、かすかに力がこもる。

「知紗は、俺が嫌い?」

 心配そうに訊かれて、あわてて首を振った。

「もしかして、まだ先生が好きとか?」

 そんなわけないと、すぐに首を横に振る。

「じゃあ、俺と付き合いたくない?」 

 勢いのまま首を横に振ったら、アカツキは盛大に吹き出した。

「じゃ、いいよね」

「え? あれ?」

 手を引っ張られ、昇降口に向かう。

「夏祭りの前に、一回ふたりでどっか出かけよう」

 私の手元を見て、アカツキが笑う。

「シュシュ、つけてきてよ」

 その瞬間、

「おいそこ、いちゃつくなー」

 下駄箱の前に座り込んでいたトワくんが目に入った。
 その横でアイスバーをかじりながらセイが毒づく。

「暑苦しいんだよ、ボケが」


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