性別「少年」属性「乙女」
やっぱり、夢だよね。
だって、陸さんのお父さんが、こんなこと聞くはず、ないよ。


でも。
夢なら、ボクも起きて、話せたらいいのに。
どうしても、声が出ない。
指先も、動けない。


「……好きだよ。大切にしたいって、思ってる」
「そうか」
「反対、しないのか?」
「俺に、おまえのことを反対したり、非難する資格はないな。……できれば、おまえの母親を安心させてやってほしい、とは思うが」
「……母さん?」
「俺が言うことじゃないな」


やっぱり、陸さんのお父さんって、優しいんだ。
もういちど、陸さんと、陸さんのお母さんと、やり直せたらいいのにな。


「……たぶん、大丈夫だよ。
俺は、マコトが好きだけど、マコトを泣かせたりしたくないんだ。
今回のことで、思い知った。
マコトが、この世界で笑っていてくれれば、それだけでいい。
マコトのことは、友人か、兄として支える。いつか、マコトが結婚でもしたら、心から祝福してやる。それから俺も、母さんの勧める女性と結婚でもするよ」
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