性別「少年」属性「乙女」
そう、なのかな。

ボクのしたことは、きっと、最善ではなかったけど。

それでも、少しでも、あの運転手のおじさんにとっても、いいことだったのかな。


「それに、マコトの親父さんだって、ちゃんと、向こうと話し合ってくれてる。あの住職さんが、向こうがそんなに困るようなこと、言ったりはしないと思うよ」

「父さん、が?」


そうだったんだ。

父さんに、ボク、そういうこともしてもらってたのに、全然気付かなかった。

父さん、お寺の方も忙しいはずなのに。


陸さんが、少ししゃがむようにして、ボクの顔を見つめる。

そうして、笑った。


「よかった。ちょっとは、安心した?」

「うん。ありがとう、陸さん」


陸さんって、ほんとに、すごいや。

ボクのこと、いつでも支えてくれる。

陸さんが一緒にいてくれるだけで、ボクはすぐに安心できる。


ボクが笑いかけると。

陸さんは、ちょっとだけ悲しそうな顔をした。

でもそれは、ほんとに一瞬で、優しい笑顔に変わったから。

だからボクは、あんまり気にもしなかったんだ。
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