性別「少年」属性「乙女」
戸惑うような、掠れた、陸さんの声。
そうして陸さんが、笑うような溜息をつく。


「……バカだな」
「うん」


自分でも、馬鹿だって、思う。
こんなに、甘えてて。
だから、こんなボクのこと、陸さんに好きになってもらえるはずがない。
そう、思ってたんだ。


「……俺が、バカなんだよ」
「え?陸さんは」
「黙って」


陸さんからの、キス。
ボクを抱きしめたまま、気遣うように、繰り返し唇を合わせる。


「最初から、素直に、こうしていればよかった」


キスの合間に。
呟いた陸さんの声が、とても幸せそうで。


ボクは初めて自分から、陸さんにキスをした。
< 508 / 525 >

この作品をシェア

pagetop