幻想
 「それが彼を苦しめているのに?」
「苦しめているですって?馬鹿おっしゃい。マモルは将来のために嬉々として勉強に励んでいますわよ」
 将来の為に、と絹枝は念を押すように言った。
 たしかに将来のためだから、勉強する。という言い分は間違ってはいない。学び、理解し、実践する。世の中を作っている人は、勉強が出来る人達であり、裏を返せば実務ができない人達である。梨花も将来について思いを馳せないわけではない。
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