水底に囁く。
「それはなあに?」

「えっとね、人魚さんの代わりに、ぼくが扉の外の世界に冒険に行くんだ」

ぼくが言うと、人魚さんは怪訝な顔をした。

「ぼくが冒険をして、世界中の物語を集めてくるよ。そして、人魚さんに物語を届けるんだ!」

「物語を、わたしに届ける……?」

「うん。ぼく自信の冒険の物語も一緒に、いろんな物語を集めて、人魚さんに扉の向こうの世界を届けるよ」

人魚はしばらくの間、呆然としてぼくを見ていた。そしてふと、きれいな顔をくしゃりとゆがめると、

「ほんとうに? ほんとうに、わたしのために世界を見てきてくれるの? わたしに、世界を届けてくれるの?」

と、泣きそうな声で言った。
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