水底に囁く。
「ほんとうだよ、人魚さん。君のために、ぼくは永遠にだって旅をして、人魚さんに物語を届けるよ」

ぼくは言って、人魚の手を取った。そして人魚の小指に、ぼくの小指を絡める。

「約束するよ」

すると、人魚は静かに涙を流しはじめた。

それは海の水に溶けていくのを拒むように、人魚の瞳からこぼれおちる瞬間に、真っ白な真珠に姿を変えて、水底の砂の上に落ちていく。

ぽろぽろ。ぽろぽろ。

ぼくは落ちた涙の真珠を一粒とって、「これをお守りにしてもいい?」と、人魚に尋ねた。

人魚は泣きながら静かに頷いた。
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