先生の「特別」にしてくださいっ!
こんな経緯があるのだから、
私が戻りたくないのは当然である。

「でも、
晶子先輩は戻ってきて欲しいって
言ってんだよ?」

晶子先輩とは部長さんの名前。
…先輩には本当に悪いことをした
と思っている。

「ていうかさ、
なんで今さら代演の話がくるの?」

「希美が晶子先輩と喧嘩して部活、
やめたから。」

「ええ?希美ちゃんが!?」

希美というのは一つ下の後輩で、
私と喧嘩してやめた後輩の親友である。

「あのワガママ、
全然、晶子先輩の言うこと聞かねえし。
やめてくれて清々したわ。
でも、おかげで、
希美がやる予定だったエポニーヌの役が
あいたの。」

「希美ちゃんと晶子先輩が
仲悪くなったのってさ?
やっぱり、私のせい、なのかな?」

晶子先輩が私の味方をしたから。

「さあ?まあ、たきのりの件がなくても、
仲悪かっただろうけど。
そもそも希美と上手くやれる奴なんて
中々いねーよ。」

「……そうかな。」

希美ちゃんは確かに中々棘がある。

「でも、たきのりが責任感じてんなら、
代演引き受けたら?」
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