先生の「特別」にしてくださいっ!
「それに、姉ちゃんが海外行ったら、
彼氏可哀想じゃん。」

「はあ?私、彼氏なんていないよ!?」

「姉ちゃんが先生って呼んでる人、
彼氏じゃないの?」

「先生って呼んでんだから、
彼氏なわけないだろ!先生は先生だよ。」

…卒業するまでは、ね。

「ふーん?まあ、どうでもいいけど。
でも、あの人、姉ちゃんが海外行ったら、
悲しいんじゃない?」

「それは…」

そう…かな…。そうだといいな。
私も離れるの、寂しい。


「俺達…家族なんだろ?」


一也が突然、キャラじゃないことを言い出す。


「当たり前じゃん。」


一年前と違って、
今はもう疑いようもなく家族だよ。


「だったら、姉ちゃんがどこにいようと、
一人じゃないじゃん?」


あ…………


そっか。


「そうだね。」


「住む場所が違っても、家族は家族だろ?
と、俺は思う。」



「なんだお前、いいこと言うじゃん。」



「別に。」


そうだ。
私たちはどこにいようともう家族、
なんだよね?

私だけが離れるからって、
それは一人になるとかそういうことじゃない。

そうだよ。

「ありがとう、一也」
< 404 / 418 >

この作品をシェア

pagetop