不器用桐谷さんと桜井くん


××××××××××



「仲良くなりたいとか思ってないから。」


桐谷さんは、そう言って歩いていってしまった


周りには、しばらくの沈黙が。



「なにあれ?何様のつもりなのかな。」



「顔がいいからって、生意気。」



という声が女子からあがる一方で



「あ~、俺。桐谷さん狙ってたのになぁ。行っちゃった…。」



「あの、冷たい性格もいいなぁ。」



と、男の子から好評の声も。



桐谷さん…。



同じクラスだったよなぁ。



教室に居たときから、目立っていた。



細くて女の子らしい華奢な体に、癖ひとつない長い黒髪。



小さい顔に、透き通るような白い肌。



可愛いというより、大人っぽくて綺麗な顔立ちだ。



「あの言い方はないよねぇ、駿?」



隣にいる真家麗奈(まいえ、れいな)が、頬を膨らませて言ってきた。



「まぁ、人それぞれだからね。」

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