不器用桐谷さんと桜井くん
特に嫌がる理由もなくみんな賛成した。
「じゃあ、11時に学校の最寄り駅に集合ね!」
真家の声にみんなが返事をして解散になった。
「つーか駿、今日入学1日目だぜ?」
帰り道を歩いてるとき、隣にいる奏が突然言った
「うん、知ってる」
奏は、一体なにを言っているんだろう…。
「なのに、あのモテモテぶり…。」
「へっ?」
「女の子に囲まれてよぉ~。」
「そうか?」
「羨ましいなぁ。」
口を尖らせて言った奏。
羨ましいのか…。
俺自身、嬉しいとかあまり感じたことはないし。
むしろ、なんか疲れる
「駿、あの中で気になる子いた?」
興味津々に顔を近づけてくる奏に、俺は、少し考えてから
「いないよ。」
と、答えると奏はため息をついた
「やっぱりかぁ…。」
奏がこう言うのには、理由があった。
俺は、中学3年間…いや、今まで好きな子が出来なかったからだ。
中学で告白されたことは10回以上あったけど、恋愛対象に見ることはなかった。
「別に、無理して好きな人作らなくてもいいだろ?」