婚約者から逃げ切るだけの簡単なお仕事です。




……そうして現在。



(……しかし、アレは予想外だったな)



家に帰ってきた俺は、ソファに身を沈めながら今日の星華の言動を思い出す。


――本当は、今日はあまり星華に意地悪をしないつもりだった。


昨日の今日だし、パーティーもあったため疲れが溜まっているかもしれないと思ったのだ。


しかし、いちいち俺の言葉や行動に反応する星華の言動が面白くて……

ついつい歯止めがきかなくなってしまった。


ついには、『どこまでやったら星華は怒りだすか』なんて考えて

意地悪をエスカレートさせてしまう始末。



(星華が優しかったから良かったようなものの、

それ以外の人にやっていたら確実に嫌われていたレベルの事までしてたしな)



改めて反省しつつ、俺はソファから立ち上がると部屋の電気を消し、

ベッドの中へもぐりこんだ。


明日こそは、星華に優しく接してみよう……なんて考えながら。



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