婚約者から逃げ切るだけの簡単なお仕事です。




(こうなったら、頑張るしかないよね!)



がぜんやる気が出てきた私は、ギュッと拳を握ると自分に気合を入れた。



(となれば、敬太様との婚約は破棄される前提で動かなきゃね)



私はいろいろと考えを巡らせ、とりあえず一つの目標を立てた。


それは、あまり敬太様と親しくならない事。


お互いに不仲な方が、いざ『婚約破棄します!』って言われた時に周囲を納得させやすいからね。


元々この婚約、親バカな両親が



『嫌なら断ってもいいからね!?』



と言いながら持ってきたものを、会社のためになるならと私が了承したものなのだ。


もし敬太様に婚約を破棄されても会社への被害は少ないし、

むしろ『婚約を破棄された側』として交渉の際に優位に立てるハズ。


敬太様と真凛ちゃんは無事に結ばれる事ができて、我が西園寺家も『NISHIYAMA』に対して有利な条件で交渉ができる。


唯一の被害といえば、婚約を破棄された後の私に『婚約を破棄されたかわいそうな女』という目で見られるのが確定なところだけど……

まぁ、それくらいなんとかなるでしょ!



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