青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


「あたしは行けるよ」

そう言うと、利乃が「やったぁ」と喜ぶ。

トモは「んー」と迷っているようだった。

「去年は、友達と行ったからなぁ。慎也が行くなら、行くわ」

その言葉で、慎也に視線が集まる。

「………」

慎也は少しの間、黙っていた。

その視線の先にいるのは、利乃。

何か言いたげだけど、ためらっているかんじ。

利乃はそれに気づいているのかいないのか、慎也をじっと見ている。

やがて慎也はため息をついて、「わかった」と言った。


「俺も行くよ」


利乃の表情が、ぱあっと明るくなった。

「やったぁ、決まり!約束ね!」

きゃいきゃいと喜ぶ利乃に、思わずこっちまで嬉しくなってくる。

トモも慎也も、笑って利乃を見ていた。

なんだかんだ、みんないつも利乃に引っ張られている。

明るく楽しい雰囲気を作ってくれる、利乃が好きだ。



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