青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「麗奈ちゃんの可愛いとことか、誰よりも知ってる自信あったし」
「うん」
「…頑張って毎日、話題見つけてさぁ。話しかけてたんだよ、これでも一生懸命」
だんだんと、彼の声が震えていく。
「………うん」
それでも、私の声だけは震えないよう、こらえた。
彼が、弱さを見せやすいように。
「…今日学校に行ったら、また慎也と麗奈ちゃんが話してんの見なきゃいけないんだって思ったら、なんかモヤモヤしてきてさぁ」
つい不機嫌になった、と彼は笑う。
私はぐっと、唇を噛んでいた。
…この人は、本当にいつも笑っているんじゃ、ない。
『いつも笑っている』のが、上手いだけだ。
「…いつも、見てたんだよ、俺。誰よりも、麗奈ちゃんのこと」
「うん」
「………好きだったんだよ、ほんと」
「知ってる」
やっぱり、震えてしまった。
私の言葉に、驚いたように目を見開いて、見てくる彼。
私は、強く強く空を見つめた。