青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「トモくんがちゃんと苦しいって伝えなきゃ、みんな気づいてあげられないんだからね!」
だから、せめて。
嘘つき同士なら、笑う必要なんか、ないんだよって。
伝えたかった。
…伝え、たかったんだ、ずっと。
空ばかりを反射して、私なんか一ミリも映してはくれないその瞳に。
私が伝えられることなんて、こんなことしかないけれど。
「………だからもう、いいんだよ」
電話で彼は、『フラれた』なんて明るく言っていたけれど。
…その隙間で聞こえた、鼻をすする音。
私、ちゃんと気づいてたから。
「…誰かの前で泣いても、いいんだよ………」
いつも笑っている、彼は。
少しだけ目を伏せて、「ごめん」と言った。
「…利乃ちゃん、もうちょっとだけ、肩貸してて」
トン、と、今度は頭じゃなくて、背中が寄りかかってくる。
その重さは、さっきよりも心なしか、軽かった。