青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


家に帰って、疲れた俺はすぐに寝たんだけど。

昨日のことを思い出して、最近ずっと感じていた重たい感情とかが、軽くなったのを感じる。

頬に当たる日光に目を細め、そして目を閉じた。


……人前で泣いたの、いつぶりだろう。

しかも、女の子の前で。


『泣いてもいいんだよ』


そう言った、彼女はすごく優しかった。

だから俺も、つい甘えてしまったけど。


「………『ずっと、見てた』」


天井を見つめながら、呟いてみる。

…あれは、どういう意味だったんだろう。

俺は、どう受け取るべきなんだろう。

いや、そのまんまの意味なのかもしれないけど。

あの小悪魔な利乃ちゃんだし、何の気なしに言ったのかも、しれないけど。

………でも。


もう一度目を閉じて、色んな可能性を考えてみる。

そうして行きつくのは、結局『そのままの意味』なのか、もしくは…のふたつだった。

その可能性に気づいてしまった時点で、スルーしていいものなのか、わからなくなる。


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