青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「……そ。考え事」
「へえ。どんな?」
「…こんなことになるなんて、思ってなかったなぁとか」
「うん」
「……慎也はあたしとふたりで、つまんなくないかなぁ、とか」
最後の言葉は、しっかりと彼の目を見て言った。
慎也は静かに、「つまんなくないよ」と言った。
「…それ、麗奈の悪い癖だね。すぐ自分を卑下する」
…だって、自信がない。
あたしはあたしに、まだ自信を持てないから。
「…日本人だもん。ケンソンだよ、ケンソン」
「ハハ。麗奈、絶対『謙遜』って漢字で書けないでしょ」
いきなり言われて、ちょっと考える。
慎也の言う通り、なんとなくの形は思い浮かぶけど、細かいところは微妙だった。
「…なんでわかるの」
「麗奈、漢字苦手そう」
「なにそれっ」
苦手ですけどね!
つんとそっぽを向いたあたしに、慎也は「図星か」なんて笑う。
…その、優しい声が。
『麗奈』って呼ぶ度に、心臓が痛む。
「でさ、さっきも訊いたけど。なんか、食べる?」
立ち並ぶ屋台を見渡す慎也を見て、「そうだね」と返事をした。