青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


…だから、駄目だ。


池谷くんに期待しちゃ、駄目だ。



「……小城さん、さ」

突然名前を呼ばれて、驚く。

「な、なに!?」

慌てて池谷くんを見上げると、彼は小さく笑いながら「なんか、緊張してるね」と言った。

…ヤバ、ホント恥ずかしい。

落ち着けよ、あたし。

「アハハ、ごめん。そうかも。それで、どうしたの?」

気丈を努めて、笑う。

池谷くんはそんなあたしを見て、言った。


「……なんか、悩んでる?」


…え?

池谷くんの言う意味がわからなくて、ぽかんとしてしまう。

…悩んでる…あたしが?

池谷くんは何も言えないあたしに気づいて、「あ」と付け足した。


「小城さんときどき、窓の外見てため息ついてるからさ。ちょっと気になって」


その言葉に、あたしは目を見開いた。

…ウソ。

池谷くんも、あたしのこと、見てた?



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