青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


『……喧嘩、してるんだ、親が。父さんが怒って、母さんは、泣くばっかりで……見て、られない』


あの光景を思い出して、じわりと涙が瞳を覆った。

…だって。

母さんのあんなにもくるしそうな顔を、見ていたら。

もう、どうしようもなくなってしまう。


涙をごまかそうと上を向くと、広がっていたのは満点の星空だった。

信じられないほど、綺麗に見える。

この辺りは田舎ではあるけど、こんなに鮮明に星が見えたことは生まれてはじめてだ。

吸い込まれそうなほど一面に広がる星たちが、俺と利乃の上に降る。

……むかつくくらい、綺麗だったから。

やっぱり泣きそうになって、必死に唇を噛んでこらえた。


『……慎ちゃん』


同じように、星空を見上げている利乃。

綺麗な横顔をした彼女にこの星空は、よく似合っていた。


『…手、繋いで』


涙が流れそうになる瞳を動かして、利乃を見つめる。

利乃は笑うこともせず、俺へ手を伸ばしていた。


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