青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「…言えないよ。言ったって、しょーがない」
「じゃあ、利乃はどうなるんだよ!」
…慎也が、声を荒げてる。
周りのクラスメイトも、ただならぬ様子に気づいて、ちらちらとこっちを見てる。
トモと目を合わせてみるけど、どうすることもできなくて。
「それで私が『再婚しないで』ってお母さんに言って、どうするの?良いことなんかないでしょう!」
「そういう問題じゃない。利乃がそこで我慢するほうが、絶対おばさん悲しいよ」
いつも仲の良い、ふたりだから。
今みたいにぶつかっているのは、初めて見た。
慎也は、利乃が心配だから。
……好き、だから。
こんなに真剣になって、言ってる。
利乃だって、わかってるはずなのに。
利乃も慎也も、すごく辛そうで。
あたしとトモには入れない、ふたりの世界があって。
戸惑っている間に、ふたりの声はどんどん大きくなっていった。