青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


…慎也も、ひとりで帰ったのかな。

そのとき、軽くお腹が鳴った。

お昼の弁当、持ってきてない。

…でも、いいや。

食べる気に、ならない…


「ねえ、トモー」


彼の隣に立って、空を見上げてみる。

どこまでも遠く、青い空。

雲ひとつない無地の快晴は、今のあたしには少しまっさらすぎるように感じた。

「んー?」

トモは空から目を離すことなく、返事をする。

あたしは目を細めながら、「慎也はさ」と言った。


「……利乃のこと、本当に大事なんだね」


思えばいつも、彼の視線の先には彼女がいたような気がする。

無邪気に笑う、可愛い利乃。

それでいて本音を見せようとしない、謎めいていて綺麗な利乃。

…いつもそばにいるあたしが憧れてしまうくらいに、利乃は魅力的な女の子だ。

トモは「うん」と一言返事をしたあと、ちらりとあたしを見た。


「…それが、麗奈ちゃんは悔しいわけだ?」


………えっ。

驚いて横を見ると、トモがニヤニヤと笑っている。

まさかあたしが慎也を好きなこと…バレてる!?


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