神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


ぐわん、と空気が揺れたような気がして、目を開ける。


けれど、魔法陣の中には何もなかった。


小さなおっさんさえ、いない。


やっぱり、こんな付け焼刃な魔術じゃダメだよね……。


落胆してため息をつくと、ふっと目線の先が暗くなった。


まるで、頭上に雲がかかったように。


「……なんで?」


ここは教会の中。
曇ったりはしないはずだけど……。


そう思って、天井を見上げた。


「えっ!?」


あたしは自分の目を疑った。


なんと、白かった天井に、黒くて大きな渦が巻いているではないか。


まるで、ブラックホールみたいな。
ブラックホール、見たことないけど。


とにかく、何もかもを飲み込んでしまいそうな深淵が、頭上に渦巻いていた。


「な、なに……?」


恐ろしいのに、目をそらすこともできなくて……その渦をただ見上げていた。


すると、その中にひとつの星のようなものが見えた。


「白い……星?」


もしかして、天使様とか!?


そのままじっと見つめていると、その星が尾を引いて落ちてくるように見えた。


それは、だんだんとあたしに近づいてくる。


怖い。


なのに、身動きがとれなかった。



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