神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
あたしにのしかかるようにしているその人がもつのは、
黒い髪に、きめの細かい白い肌。
日本人離れした、彫りの深い、けれど濃すぎはしない、均整のとれた顔。
黒いまつげに縁どられた瞳は、南国の海を思わせるブルー……。
…………なのに、首のつけエリが、全体の印象をマヌケに見せる。
それ、ザビエルじゃん!
イケメンなのに、ザビエルだよ!
てっぺんハゲてないけど!
「……あ、あのっ、どなたか存じませんが、どいてください!」
とにかく、この体勢はダメでしょっ!
思い切って声を出すと、驚いたようにこちらを見つめていたブルーの瞳が、ぱちぱちと瞬きした。
「ああ……すまぬ」
ザビエルなイケメンさんは、あたしからどいた。
それから立ち上がろうとして、すぐに膝をついてしまう。
「く……っ!」
「あっ……怪我してるんですかっ?」
よく見ると、ザビエルさんの抑えるお腹のあたりが、赤く染まっていた。
苦しそうな顔で荒い息をするザビエルさん。
彼はハッと何かに気づいたように、突如目を見開いた。
そして、自分が落ちてきた渦の方を見上げる。
そして。
「……危ない!」