神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「五体満足で、食べるものもあって、友はいなくとも、両親には大切にされている。
お前はじゅうぶん恵まれているではないか。幸せではないか。
ほら、顔を上げろと言うに!」
ぶしつけにあたしの顔を両手ではさんで、無理やり顔を上げさせようとする四郎くん。
「やめ……てよっ!」
あたしはその手を、力任せに振り払った。
自分で顔を上げてにらみつけた四郎くんの青い目に、戸惑いの色が見えた気がした。
「そうやって上から目線でお説教するのやめてよ!
あなたの時代に比べれば、たしかにあたしたちは恵まれてるよ。
でもね、この時代だって、簡単に生きられるほど甘くないんだから!」
「…………」
「遠くの外国では、今でも戦争している地域がある。
ご飯を満足に食べられない子だっている。
そんなの全然関係ないこの国だって、決して生きやすくなんかないんだよ」
ここでは誰もが、平均値からはみでないように気をつけながら、自己実現をはかろうとしている。
あたしはその平均値から思い切り飛び出しているがゆえに、周りと同じスタートラインに立つこともできなくて。
「あたしは、あたしなりに、悩んで苦しんで、生きてるんだもん……!」