神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
もうあたしという娘も高校生、二人もラブラブってことはさすがにないけれど。
両親に円満でいてもらいたいというのは、普通の子供の願いじゃないかな。
「ああ……そうなのか。
そう、だな……」
四郎くんは意外と素直に、あたしの説教を聞き入れた。
その表情に、少しのかげりが見えたような気がした。
「あの……」
「ん?」
「……四郎くん、あの、ね……」
「なんだ」
「…………オロチがいなくなったら……元の時代に帰りたい?
家族とか……待ってるひとたち……心配してないかな……」
ベッドに座り、床の四郎くんに向かってぼそぼそと話す。
すると、その青い目が、一瞬固まる。
もしかして、余計なことを言っちゃった?
そう思ったときには、彼の長いまつげがゆらりと揺れ、頬に切なげに影を落とした。
「……心配せずとも……我には、家族も、待っている者も……おらん」
低い声は、やっと聴きとれるくらいの大きさで耳に届いた。