神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「あの兄弟には話すなよ」
と念を押し、四郎くんはぽつりぽつりと話しはじめる。
「我の父は、ポルトガルから来た伴天連(バテレン)だった」
伴天連って、つまり宣教師のことだよね。
「商人に紛れて日本に着き、隠れていた伴天連は、実はかなりの数がいた。
そんな父が見初めたのが、日本人の母だ。
彼女はかつて天草をおさめていた元キリシタン大名の落胤……つまり、隠し子だった」
四郎くんが言うには、そのお姫様は、天草の人たちに大事に大事に隠されて育てられたみたい。
そして、同じようにかくまわれていた宣教師のお父さんと出会い、結婚して四郎くんが産まれた。
「日なたには出られない生活だった。
我はこんな見た目だし、父も母もこの世にないはずの人間だ。
それでも、我らは仲が良く、神の教えを信じ、人々に伝えて生きていた」
だけど、とこぼし、一瞬だけ四郎くんは唇を噛んだ。
辛いことを思い出しているようで、長いまつげがゆらゆらと揺れる。