神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「嘘の予言をでっちあげたのだ。
──今から7年後、空や海が赤く染まり、季節外れの花が咲き乱れる。
そのとき、天からの御使いが天草の地に舞い降りる。
彼は救世主であり、すぐに神を信じる者たちの世が訪れるだろう──
とな」
「それって……」
「本当に困った時には身よりのない我を総大将にして、一揆を起こせばいいという意味だ。
農民たちは素直にその言葉を信じ、我を隠して育て続けることを約束した」
そんな。
何も言えないあたしに、四郎くんは笑って言った。
「救世主を置いていく代わりに、二人は安全に船に乗せてもらい、さっさとポルトガルへ逃げましたとさ」
「そんな……ひどい……」
「だろう?
我はあのとき悟った。
神なんて、どこにもいないのだと」
素直にその存在を信じ、忠実に教えを守っても、神は我を見捨てたもうた。
四郎くんはそう言うと、胸にかけていたロザリオを、ぎゅっと握りしめた。
とても、悔しそうに。