神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「だけど我が10歳の時……両親は、あっさりと我を捨てて海を渡ってしまったのだ」
「え……っ」
そんな。
仲の良い家族だったはずなのに?
「ちょうど、オロチが領主にとりついたくらいだったと思う。
禁教はますます厳しくなり、あちこちで隠れキリシタンや伴天連が処刑された」
「処刑……」
「両親もこれでは命がいくらあっても足りないと思ったのだろう。
天草の民に、ポルトガルへ逃亡するために力を貸してほしいと父は頼んだ。
しかし、農民たちは憤慨した。
自分たちを見捨てていくのかと。
自分たちの生活もやっとの中、ろくに働けもしない一家を大事に匿ってやったのに、と」
当時の農民たちは、作物のすべてを年貢としてとられてしまい、草の根を食べて生き延びていたのだという。
当然だ、と四郎くんはため息をついた。
「そこで父は、世にも卑怯な作戦を思いついた」
「作戦?」
聞き返すと、四郎くんは自嘲気味な笑みを浮かべた。