神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


「だけど我が10歳の時……両親は、あっさりと我を捨てて海を渡ってしまったのだ」


「え……っ」


そんな。

仲の良い家族だったはずなのに?


「ちょうど、オロチが領主にとりついたくらいだったと思う。

禁教はますます厳しくなり、あちこちで隠れキリシタンや伴天連が処刑された」


「処刑……」


「両親もこれでは命がいくらあっても足りないと思ったのだろう。

天草の民に、ポルトガルへ逃亡するために力を貸してほしいと父は頼んだ。

しかし、農民たちは憤慨した。

自分たちを見捨てていくのかと。

自分たちの生活もやっとの中、ろくに働けもしない一家を大事に匿ってやったのに、と」


当時の農民たちは、作物のすべてを年貢としてとられてしまい、草の根を食べて生き延びていたのだという。


当然だ、と四郎くんはため息をついた。


「そこで父は、世にも卑怯な作戦を思いついた」


「作戦?」


聞き返すと、四郎くんは自嘲気味な笑みを浮かべた。




< 171 / 379 >

この作品をシェア

pagetop