神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
いつもより早く家を出たせいか、教室には人がまばらにしかいなかった。
その中のひとりが、あたしと雷牙、四郎くんに微笑みを向ける。
「おはよう」
「槙原くん……おはよう」
彼は先日のことなんか何もなかったかのように、いつもの穏やかな雰囲気を身にまとっていた。
オロチは槙原くんにとりつくのをやめたのかな?
とりつく人間との相性が良くなければ、オロチは次の宿主を探しにいくはず。
診療所からの帰り道で、四郎くんがそう言っていた。
とにかく、無事なら一安心……。
そう思って席に座ろうとしたあたしに、槙原くんは近づいてくる。
え……なに?
「神崎さん、ちょっといいかな」
「は……え……」
「話があるんだ。昨日のことで」
昨日のこと。
それはもしかして、告白のこと?
意識を集中してみるけど、やっぱりオロチの気配は感じられない。
「うん……わかった」
あたしは返事をして、槙原くんのあとをついていくことにした。