神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
そこは、屋上に通じる階段の踊り場だった。
屋上のドアはカギがかかっていて、その前には使わなくなったのであろう椅子が積んである。
もちろんこんなところ、よっぽどの用事がないかぎり、他の生徒は来ない。
「……で、昨日のことって……」
たずねると、槙原くんは少しずれたメガネを指で直しながら、小さな声で言った。
「好きだから、つきあってほしいって言ったこと」
どくんと、心臓がはねる。
「覚えてるの?」
「どういうこと?」
きょとんとした顔の槙原くん。
もしかして……あの瞬間まで、彼は彼の意識を保っていたの?
「えっと……もしかして、夢じゃないかなって思ってたから」
いいわけをすると、槙原くんは苦笑した。
「ひどいな。僕は本気だったのに。
天草にきみを奪われたあと、めまいがしたよ。
情けないけど、倒れそうだった」
それは……オロチの憑依の後遺症なんじゃ?