神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「そういえば、もうすぐお祭りがあるじゃない?」
「ああ、あの大きな神社の……」
「美心は誰と行くのかな~?」
奈々ちゃんはあたしと四郎くんを交互に見て、にやにやとしていた。
学校の近くの大きな神社のお祭りは、毎年6月に行われている。
たしかその年の五穀豊穣を祈る、どこにでもある、普通のお祭りだ。
ただ神社っていう場所と、人の多さが苦手で、もう10年くらい行ってないけど……。
奈々ちゃんはもちろん、彼氏さんと約束があるんだそうで。
うらやましいかぎりだよ、まったく……。
「お祭りかあ……」
いつか、素敵な男の子と一緒に行けたらいいな、なんて妄想はいったい何度したことか。
ならば槙原くんの申し出を受け入れれば良かったのに。
どうして彼じゃダメだと思うようになっちゃったのかな。
あたしはまたぼんやり、男子の方のコートをながめた。
そこではまだ、四郎くんが長い手足を活かせずに、もがいていた。