神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


すごく心配をかけていたんだということに気づいて、胸が苦しくなる。


両親はあたしと違ってごく普通の人で、あたしの変な能力のことも知っている。


それでも普段はあまり深刻になることもなかったし、そんなの気にすることないって言ってくれていた。


だけど……やっぱり、心配してくれてたんだね。


「よし、完璧!可愛い!」


編み込みにしたサイドの髪に、花の髪飾りをつけて、お母さんは満足そうに笑った。


「ありがとう……お母さん」


お礼を言うと、お母さんは微笑んだまま、和室のふすまを開ける。


そこには先に支度の終わった四郎くんがいた。


あたしに気づいて振り向いた彼は、黒をベースにした浴衣を着ている。

お兄ちゃんのものを勝手に借りて。


さすが、と言うべきか、自然にそれを着こなす彼からは、普段は隠れているほのかな色気が、ふわりと漂っているみたいだった。


「……すご。モデルみたい、四郎くん」


すらりとした体型に、甘いマスク。しかも浴衣。


うっかり見とれていたあたしは、ぽかーんと口を開けっ放しだったのに気づいて、慌ててそれを閉じた。



< 193 / 379 >

この作品をシェア

pagetop