神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「……化粧までしたのか」
四郎くんはあたしの言葉に答えるでもなく、そう言った。
ブルーの瞳は普段と同じようで、何を思っているのかよくわからない。
「うん、浴衣に負けちゃうからって、お母さんが。
マスカラとグロスだけだけど」
「マラカス?」
「それじゃ楽器だよ……」
ツッコむけど、本人はよくわかってないみたい。
そうじゃなくてさ、四郎くん。
他に言うこと、ないんですか?
ドキドキしているあたしの肩を後ろからたたき、お母さんが言う。
「どう?可愛いでしょ?」
そう言われた四郎くんは、やっとブルーの瞳を細めて、微笑む。
「ああ……似合ってる」
……お母さんにきかれたら、そう答えるしかないよね。
そう思っているのに、胸が高鳴る。
いつだって四郎くんはあたしの見た目をけなしたりはしないけれど、決してほめたりもしない。
意地悪な彼がほめてくれたというだけで、くすぐったいような、変な感じ。
ぎこちなく笑うと、四郎くんは編み込みを避けて、あたしの頭を軽くなでた。