神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


「わあ……可愛い」


近くで見ると、それは本物っぽく、ちゃんと可愛い顔をしていた。


ぎゅっと抱きしめると、ふわふわのカールした毛が頬をくすぐる。


「ありがとう、四郎くん」


見上げると、四郎くんはにっと笑った。


「早く行こう。
あまり目立つと、発情期兄弟に見つかる」


そう言うと、あたしからクマを奪い、また手を引いて歩き出す。


「すごいね、四郎くん。
あたしだったら絶対当たらないよ」


「ああ……銃は一揆軍で使ったから。一応習っておいてよかったな」


農民の前では超能力を使った方が喜ばれるからそうしていたけど、単に興味もあって、銃を習ったのだという四郎くん。


「しかし、子供たち可哀想に……あの的、尻が板に接着されておったわ」


「え……え?四郎くん、もしかして……力使って……」


「しっ」


彼は長い人差し指を自分の唇にあて、いたずらっこのようににやりと微笑む。


あの的を落とすのに、力を使ったんだ。

いんちきじゃん!


ツッコもうと思ったけど、ごまかす顔がなんとなく可愛く見えてしまったので……黙っていてあげることにした。






< 208 / 379 >

この作品をシェア

pagetop