神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「わあ……可愛い」
近くで見ると、それは本物っぽく、ちゃんと可愛い顔をしていた。
ぎゅっと抱きしめると、ふわふわのカールした毛が頬をくすぐる。
「ありがとう、四郎くん」
見上げると、四郎くんはにっと笑った。
「早く行こう。
あまり目立つと、発情期兄弟に見つかる」
そう言うと、あたしからクマを奪い、また手を引いて歩き出す。
「すごいね、四郎くん。
あたしだったら絶対当たらないよ」
「ああ……銃は一揆軍で使ったから。一応習っておいてよかったな」
農民の前では超能力を使った方が喜ばれるからそうしていたけど、単に興味もあって、銃を習ったのだという四郎くん。
「しかし、子供たち可哀想に……あの的、尻が板に接着されておったわ」
「え……え?四郎くん、もしかして……力使って……」
「しっ」
彼は長い人差し指を自分の唇にあて、いたずらっこのようににやりと微笑む。
あの的を落とすのに、力を使ったんだ。
いんちきじゃん!
ツッコもうと思ったけど、ごまかす顔がなんとなく可愛く見えてしまったので……黙っていてあげることにした。