神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


「あっ、あなた学校にいた……」


あの教会の近くであった、いかつい顔の緑ジャージのおっさんだ。


思わず声をかけると、おっさんは振り向いた。


あたしは四郎くんのベビーカステラを一つもらって、彼に差し出す。


するとおっさんは素直にそれを受け取り、嬉しそうな顔をした。


「お引越ししたんじゃなかったの?」


『した。隣町に。
でも、祭りがあることを思い出して、遊びにきた』


「そうなんだ」


精霊もにぎやかなことが好きなんだ。



「お仲間は、みんな元気?」


『元気。今のところは。

ありがとう。そんなこと聞いてくれる人間は、あんただけ』


「…………」


ありがとうだなんて……。


もともとはあたしがオロチを召喚しちゃったせいで、彼らは引越しをしなくちゃならなくなった。


だから、心配だっただけなんだけど……。


「元気なら良かった」


『あっちの人間、だれもこうしてお菓子くれない。

落ち着いたら、こっちに戻ってきたい』


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