神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


憎まれ口をたたきながらも、額まで赤く染める彼女を、抱きしめたい衝動に駆られる。


「四郎くん」

「ん?」

「……おやすみなさい」 

「……ああ……」


美心がこくんと、言いたいことを飲み込んだ。


そんな気がした。


なあ、美心。


我のせいで3万7千人の人間が死に追いやられたという事実は、その澄んだ目にどのような色で映るのだろう?


いつまでお前は……


我に、笑いかけてくれるのだろう。


また眠りに戻った美心の髪をなでると、微かに甘い香りがした。


それが、自分を浄化してくれるようで、また守ってくれているようで。


その心地の良い感覚に、今だけは浸っていたい。


そう思っているうち、夜は明けていった。


< 238 / 379 >

この作品をシェア

pagetop