神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
憎まれ口をたたきながらも、額まで赤く染める彼女を、抱きしめたい衝動に駆られる。
「四郎くん」
「ん?」
「……おやすみなさい」
「……ああ……」
美心がこくんと、言いたいことを飲み込んだ。
そんな気がした。
なあ、美心。
我のせいで3万7千人の人間が死に追いやられたという事実は、その澄んだ目にどのような色で映るのだろう?
いつまでお前は……
我に、笑いかけてくれるのだろう。
また眠りに戻った美心の髪をなでると、微かに甘い香りがした。
それが、自分を浄化してくれるようで、また守ってくれているようで。
その心地の良い感覚に、今だけは浸っていたい。
そう思っているうち、夜は明けていった。